活気あふれる地域には、元気なお店がたくさんあります。その中でも生活に密着している飲食業や小売業は、町全体に元気を与えてくれます。
私の妻は江戸川台で生まれ育ちましたが、その頃の江戸川台東口の商店街は活気にあふれていて、人通りも多く自転車を駐める場所もないほどひしめき合っていたといいます。私は大阪の下町で育ちましたが、やはり当時の地元の商店街は活気がみなぎっていました。
現在の流山は、おおたかの森に多くのショッピングセンターが建ち並び、テレビ番組では『千葉の二子玉川(にこたま)』と称されるほど、オシャレで便利になりました。
私が政治活動を始めてから『おおたかの森ばっかり』という言葉を多くの人から本当によく聞きます。
実際のところ、南部の木地区は県の再整備事業によって流山街道沿いに多くの店舗が出店し、北部の県道沿いにはアジア最大級と言われる物流センターが出来ました。地域経済という点では決しておおたかの森ばっかりではないとも言えますが、新しくできたこうした商業施設には大手企業の出店が目立ち、地元商店や地場企業はなかなか進出しづらい現状にあります。大手企業が流山を選んで進出してくれることは喜ばしいことではありますが、地域経済は大手企業だけで成り立つものではありません。『おおたかの森ばっかり』と映る状況も、流山発展の代名詞と捉えればとても良いことであることは間違いありませんが、それでも『ばっかり』という発展形を『だけじゃない』という進化形につなげていくことがこれからは重要になります。
地元の食堂にはそこでしか食べられないどこか懐かしい味わいがあり、地元のお店には人情味のあるおじさんやおばさんがいて、昔の流山はこんなだったとか、流山にこういうところがあるのを知ってる?などといった人と人との交流があったり、地元散策につながる情報が目白押しにあります。私自身も流山に移り住んだ一人でありますが、地元の企業や商店の人と交流することが流山のことを知るきっかけになり、地元のことを知ることでこの土地に対する愛着が増してくることを実感しています。
現在の日本経済は、急激な為替の変動やウクライナ紛争などの原因によって物価が高騰しており、原材料調達を海外に依存しすぎるのではなく国内生産について見つめ直すべきという地産地消の考えが高まってきています。
では、地域経済において地産地消の考え方は成り立つのでしょうか?流山市の仕事は流山市の会社が中心となって請け負っていくべきなのでしょうか?
行政(市区町村)がこれまで民間に発注してきた、とある仕事を市内業者から市外の業者へ切り替えたそうです。金額が安いから、という理由でした。市外業者はその地域のことをよく知らなかったため、これまで行ってきた市内業者よりも仕事がおろそかになってしまって行政サービスが低下した。こんな一例もあるようです。
また地域経済においては、長引くコロナ禍によるダメージ、量販店やネットショップとの価格競争力、人材不足や後継者問題、などといった共通の課題を抱えています。こうした共通の課題に対して各企業が個々に対策を見当するよりも、行政や地域経済団体の協力を得て解決を図る方が効率的であったり有効性が高いことが多くあります。コロナ禍における飲食店への給付金や助成金の対応は、将に共通の課題に対する行政の支援そのものでしたが、こうして考えても行政と地域経済は密接に関わっていることが分かります。
国政においては経済対策という言葉をニュースなどでもよく耳にします。一方で地域行政における地域経済対策は、私も会社を経営しておりますがこれまであまり馴染みがありません。
近江商人の経営哲学である「三方よし」とは「買い手よし、売り手よし、世間よし」という考え方です。
会社は自らの企業努力によって社会により大きく貢献し、社会への貢献度によって企業価値を高めていくものです。しかし昨今の不安定な社会情勢下における地域経済の発展は、企業単体の頑張りだけに期待するのではなく、地域での相互連携が必要不可欠となってきています。大手企業と地元業者のパートナーシップ、企業・経済団体・行政による経済連携、といった地域ぐるみの経済対策を講じることで、地域経済を活性化させ持続可能で魅力あふれるまちづくりが進んでいくものだと考えます。